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「…‥っ、お前‥」
「ふふっ、驚きましたか?」
振り向くと、そこには沖田の姿。
しかし、先程までとは違っていた。
「髪‥」
「これが私の決意です」
沖田の長かった髪は、肩までばっさりと切られている。
沖田は土方の隣に腰をおろし、夕陽を眺めながら自分の思いを語る。
「髪は女の命って聞きました。だから、こうするのが手っ取り早いかと」
似合うでしょう?と、にっこり微笑みながら沖田は土方に問う。
夕陽の紅い光が優しく沖田を照らし、沖田の短くなった髪を赤く燃やす。
「土方さん」
呆気にとられている土方に、沖田は続ける。
「女だとか男だとか、そんなに大切ですか?私は力が欲しい。大切なものを護れるだけの力が。ぬくぬくと護られているのは嫌なんです」
女ではあるけれど、竹刀を振るのが好きだった。
周りの同年代の男子にも余裕で勝てる力を持っていた。
決して自慢などではないが、そうだったのだ。
そのため同年代の友達もいない。
自分は何で竹刀を振っているのか悩んだ。
もう竹刀を持つのを辞めようとも思った。
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