~第一章:出逢いで出費は八千万~

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会話が続かないなら分かるけど、会話が始められない場合はどうすればいいのでしょう。 ただただ沈黙が支配し、深い森が余計に寂しく感じられる。 「……バンパイアって知ってる?」 どうにかしようと考えていると、東条院からのあまりにも不意で、唐突な質問だった。 「ま、まぁ……なんとなくなら」 「……そう」 「…………」 今の質問の意味が分からず、僕は歩きながら首を傾げてみた。 これは単に僕がバンパイアを知っているか知りたかったのか、それとも話題を振るのが下手なだけなのか……どちらもありえる。 だから僕は、その話題を引っ張ってみることにした。 「バンパイアってあれだろ?日本でいう吸血鬼」 「……そう」 「でも今の時代吸血鬼なんて幽霊並の非科学的な話だよね」 「……本当に、そう思う?」 「…………」 東条院のその意味深な言葉に、僕は少しだけ東条院を見た。
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