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立ち上がってその場を去ろうとした僕の腕を、賢也はガッチリと掴んだ。
それも目に涙を溜めてるし……。
「朔夜……俺、このままだとデートに遅刻しちゃうんだ……」
「私情を全面に出して押し通そうとするな!嘘でもいいから納得できるような嘘を言え!」
「正直者が馬鹿を見る世の中は反対だ!」
「はぁ……」
こりゃ、完璧に僕がやらないといけない展開になってる……。
このまま帰っても良いけど、腕に絡みついた賢也は永遠にこのままという可能性は否定出来ない。
「わかったよ。で、どこにあるんだ?」
「さっすが俺の親友!話が分かる男とはお前のことだぜ」
「そんな称号いらないから……で、社会科室にあるの?」
「いやいや、ちゃんとそこに置いてあるぞ」
「そこにって……」
賢也の指差した先のものを見て、僕は絶句した。
そこにあったのは、普通ここまで溜めるか!?と叫びたくなるような、大量の燃えないゴミの袋に包まれた缶ビールや缶酎ハイの山だった。
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