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「って広いからぁぁーーーーーーッッ!!」
踏み込んでみたはいいものの、やはりというか当たり前のように迷った。
森は意外と広く、しかも深かった。
人が通る道はあるけど、なんか食虫植物がいても不思議じゃない雰囲気だ。
「あぁ、きっとこの森は迷いの森って名前なんだろうな……」
なんでこんなことを呟くのかというと、十七歳にもなって迷子になったからです。
何やってんだよと自分自身にツッコミを入れ、隣にある木に額を当てて軽く泣いてみたりした。
でも泣いてる暇はない。
遭難したらその場を動くなとは言うけど、ここは学園内にある森で、まさかここで僕が迷ってるなんて誰も思わないだろう。
動かなきゃ助からない。
知られたら恥ずかしい。
でもそんな思考も一発で吹き飛ぶことが、僕の前で起きた。
「え……?」
それは女の子だった。
見慣れた制服だと思ったら、見事なまでにうちの制服……。
校章が白なのから判断して、僕と同じ二年生……。
でも違和感を感じていた。
それは両目が前髪で隠れて表情が読めない上に、こんな子を見た記憶がないからだ。
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