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「天子の隠密ーーーーー!?」
茜色の光が差し込む店内で、店主胡蝶の声が響いていた。その前に座っている男は、耳に手をあて胡蝶を見た。
「その様に大声を出されては、店の外にいる人々に聞こえるだろう」
「隠密って…しかも、天子の…」
胡蝶は男の声を無視し、考え込んでいた。
「言わぬと言った。天子にも、誰にも」
いや、言われては私はヤバイことになる。天子にバレては、妾にされてしまいそうだ。
「そういえば、貴方の名は?」
「女というものはすぐに話がとぶ。まだ言っていなかったか…」
「ええ…」
「似合わない。と言うなよ…」
男は顔をしかめながら、渋々質問に答えた。
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