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春風の心地よいお昼時。人で賑わう街中に、その花屋はあった。
『月天花』
今は亡き母の名を店名にしたこの店は、この界隈ではとても有名な店の一つである。
「胡蝶ちゃーん」
「はぁーい!!」
胡蝶――この店の主人であり、この辺では美人として有名だ。人当たりもよく皆に好かれる存在だが、秘密の多い店主としても有名だった。
「胡蝶ちゃん、旦那に一輪花を贈りたいんだけど…何かないかな?」
「宮(グウ)さん…旦那さんになんて、ラブラブですね」
「やぁね…、今日は結婚記念日なのよ。だから特別よ」
宮さんは、頬を赤らめながら店の中で花を見た。
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