最悪な出会い

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「やっぱり薔薇かねぇ…。愛を伝えるには…」 そういい、宮さんは薔薇一輪を手に取ろうとした。胡蝶はその手を止め、別の花を勧めた。 「カーネーション…って、母の日じゃないんだよ胡蝶ちゃん?」 「宮さん、カーネーションの花言葉ってご存知ですか?」 「花言葉かい?………知らないなぁ…」 「カーネーションには、確かに『母への愛』という花言葉もありますが、『純粋な愛』『貴方を熱愛します』という花言葉もあるんですよ」 得意気に胡蝶はカーネーションの花言葉を宮さんに伝えると、また別の花を探した。 次に手に取ったのは『セージ』だ。 「セージには『家族愛』ていう意味もありますよ?」 「流石だね…。天花(アマカ)さんもそうやって花言葉を教えてくれてたよ…」 「私の師匠は母ですから」 そう笑顔で応えてみたものの、一瞬だが寂しげな顔をした。その表情に宮さんは気付き、胡蝶に詫びた。 「ごめんね…胡蝶ちゃん。つい…」 「いえ、大丈夫ですよ。……宮さんも、母とは大の仲良しでしたもんね…」 「そうなんかねぇ…。アイツは結局、たくさんの隠し事を私にして居なくなっちまった。『伊那、胡蝶を頼む』なんて伝言遺しやがって…」 「すみません。母が……迷惑かけちゃったみたいで…」 謝りながらも、胡蝶はクスッと笑い花を包んだ。 「はい宮さん、カーネーション一輪お待たせ致しました」 たった一輪の花をきれいに包み、宮さんに渡した。淡いピンクのその花は、凛といていて存在感があった。 .
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