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私は偶然に見つけた。
何か一瞬光るモノ。
私はそれに惹かれた。
あれは希望の光。全てを正す光なんだ、と。
私の目の前には私がいる。
それの手にはあの光が握られていた。
私の顔はにっこり笑っていた。
でもその笑顔は狂気の笑顔。血飛沫を浴びた、異常なまでの笑顔。
その顔がボロボロと崩れていった。体や足まで崩れていった。地面にボタボタと落ちる肉塊。握られていた光も地面に落ちて消えた。
あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは
私は、無意識の内に耳を塞いでいた。まだ頭の中で響く、私自身の声に怯えていた。がりがりと頭を引っ掻き回した。
あれは何っ!?
何を伝えたいの!?
私が何をしたの!?
私は何もやってないっ!
私は狂ってない狂ってない狂ってない狂ってないくるってないクルッテナイ!!
はぁはぁと息を荒くして、我に帰る。
足元に包丁が置かれていた。
知らない内に、逃げていたらしい。
とりあえず、落ち着くまで待った。
これがあの光。私を狂わした光。
そんな風に思っていたのに、私は包丁を拾っていた。
これでふたつめ。
狂わない。私は絶対に狂わない。
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