‐みっかめ‐

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とりあえず、「かえる」は外して自転車に乗る。 もう少し探索してみよう。 何かあるかもしれないし…。 しばらくペダルを漕いでいると、私の目に、門のようなオブジェが映った。 明らかに、樹海に門は変な配置。 正面に回ってきたけど、門の向こうは相変わらずの密林。 とりあえず通ってみよう。 私の好奇心は収まらなかった。 ここは…どこ? 森が消えていた。 その代わりにあるのは、トゲのような柱が並んで出来た壁と、青い色の、何かの動物の絵が描かれた地面。 一瞬、集落か何かとは思ったけど…何の気配もない。 とりあえず、包丁を持っておく事にした。 使いたくないけど…護身用なら大丈夫だろう…多分。 というより、私が精神的に強くなれば良いだけ。 そうすればきっと狂わないで済む筈。 ちょっと進むと、遠くに人が見えた。 久々のまともな姿に、私は安心した。 やっと、私は会話できる。 孤独から解放される。 そう思って走り出した。 「奴」が振り向いた。 目はピンクに染まって、飛び出しそうで。 鳥のような口から、舌をベロベロ出していた。 その顔を見て、私は訳の分からない恐怖で足が止まった。 逃げなきゃ…逃げないと…奴に…。 その人間は、私を追いかけてきた。 即座に自転車に乗って必死に漕ぎ出した。奴に捕まらないように、足に更に力を込める。 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖いっ! 気付いた時には、行き止まりに追い詰められていた。 私は完全にパニック状態に陥った。 手に持っていた包丁を闇雲に振り回した。 人を殺すとか殺さないとか言ってる場合じゃなかった。 そうだ、私を怖がらせるものは死んでしまえばいい。 死んで、私の前から消えてしまえば良いんだ。 永遠に消えてしまえ消えてしまえ消えてしまえ消えてしまえ消えてしまえっ! 目が覚めると、顔のような壁が、私の目に映り、怖さで立ち上がった。 私の背中にも顔の壁。全面顔の壁。 地面は、赤い文字で埋められていた。 ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ずっと「あ」ばっかり。 お願い、誰か出してっ! 誰でも良いからここから出してっ!! 壁を叩いたけど、無駄だって分かっていたけど、ひたすら叩いて叫んだ。 そこで目が覚めた。 怖いよ…お母さん…お父さん…。
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