‐よっかめ‐

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今日もベランダ。 直ぐに扉の部屋に行って、扉を選んで入った。 目の前はブロックだらけ。 相変わらず、地面は真っ黒。 空には猿の王様のモノクロ状態。 はぁ…と私は溜め息をついた。 いい加減、飽き飽きしてきたのが正直な気持ち。 まあ…仕方ないからこのゆめにも付き合ってあげる。 自転車に乗って探検開始。 見た所、都会をシンプルにブロックで現した、そんな感じ。 まあでも、意味不明であることには変わりないんだけどね。 しばらく適当に走らしてると、ブロックの配置の関係で出来た道路。 勿論通る。通らない訳がない。 その途中に、マフラーと、えっと…ニット帽…だっけ… そんな感じの帽子が落ちていた。 …悪かったわね、うろ覚えで! 私は何時ものように触って、リストを取り出して、「ぼうしとマフラー」の文字をなぞった。 …何でソックスとか靴とかまで変わってるのかは突っ込まないけど…。 結構可愛いじゃない…このアイテム。 暖かいし…。 役には立ちそうにないけど。 鏡も見てないのに分かるのは、きっとゆめだから。 ゆめなんてそんなもの。 しばらくこの格好で歩く事にした。 なんとなくよ、なんとなく。 ぼうしとマフラーが浮いている。おまけに動いている。 何あれ…。 少し動揺したけど、良く見ると、半透明の女の子がかぶっているみたい。 私と同じぼうしとマフラー。 ちょっと嬉しい。 声を掛けようと近寄って、触った。 気が付くと、どこかのオブジェの上にいた。 後ろにはぼうしとマフラーの女の子。 その子はにこっと笑ってこう言った。 「気をつけてね。」 私は泣いていた。 嬉しくて、やっと孤独から解放されたような感じがして、今まで我慢してた感情が溢れて、涙を抑えられなくて。 女の子は笑顔で私を撫でてくれた。 私は、ありったけの涙を流していた。
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