‐いちにちめ‐

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私はベランダに居た。何をするわけでも無く座って空を見上げていた。綺麗な月だ。 私は窓付き。私が勝手に付けた名前。ホントの名前は知らない。 両親?そんなものは知らない。話によると、私を捨てて以来、連絡が取れず消息不明だそうだ。 まあ私には今更関係の無い話。今私に出来るのは、こうやって月を見ることと、寝ることだけ。 私を養ってくれているのは隣の部屋に住むおばさんだ。 でも私は嫌い。叩いたり蹴ったりするから。だから外には出たくない。また叩かれるのは嫌。 だからこうして引きこもって過ごしてきた。もちろん今も。 さて、そろそろ寝なきゃいけない時間。 これも私が勝手に決めたルール。 立ち上がってお尻をはらう。 さよなら、今宵のお月様。
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