‐いつかめ‐

2/6

438人が本棚に入れています
本棚に追加
/100ページ
あの感覚が消えないまま、また夜が来た。 ぬるっとした、生暖かい、あの嫌な感覚。 本当の血の感覚。 人を殺してしまった。 それだけなら私はこんなにも悩まない。 問題は、あの子が、私の記憶にあったこと。 私の記憶にある、ということは 私の知ってる人ってこと。 その子が友達だったのか、それとも私が一方的に知っていたのか。 どっちにしろ、私は人を殺した。 頭が痛い。 何故私は逃げたの? 何故もっと他の方法を考えなかったの? 自問自答するけど、すぐに止めた。 くだらない… 所詮私のゆめ。誰にも分からないのに、何を悩んでいるんだ、私は。 ベランダで、夜の冷たい風に吹かれながら、私はふっと思い付いた。 私は狂ったゆめでしか存在価値がない…? 私は狂ったゆめを見るだけに存在している…? …流石に無いか、それは。 と苦笑いしながら首を振る。 ベッドに潜り込んで目を閉じる。 直ぐに私は深い眠りに落ちていった。 今日もベランダ。 いつものように広い部屋の扉を開けて。 今日は淡い青色の扉にした。 いつものように扉を開けて、狂ったゆめの世界に踏み込んだ。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

438人が本棚に入れています
本棚に追加