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あの感覚が消えないまま、また夜が来た。
ぬるっとした、生暖かい、あの嫌な感覚。
本当の血の感覚。
人を殺してしまった。
それだけなら私はこんなにも悩まない。
問題は、あの子が、私の記憶にあったこと。
私の記憶にある、ということは
私の知ってる人ってこと。
その子が友達だったのか、それとも私が一方的に知っていたのか。
どっちにしろ、私は人を殺した。
頭が痛い。
何故私は逃げたの?
何故もっと他の方法を考えなかったの?
自問自答するけど、すぐに止めた。
くだらない…
所詮私のゆめ。誰にも分からないのに、何を悩んでいるんだ、私は。
ベランダで、夜の冷たい風に吹かれながら、私はふっと思い付いた。
私は狂ったゆめでしか存在価値がない…?
私は狂ったゆめを見るだけに存在している…?
…流石に無いか、それは。
と苦笑いしながら首を振る。
ベッドに潜り込んで目を閉じる。
直ぐに私は深い眠りに落ちていった。
今日もベランダ。
いつものように広い部屋の扉を開けて。
今日は淡い青色の扉にした。
いつものように扉を開けて、狂ったゆめの世界に踏み込んだ。
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