‐いつかめ‐

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いつもの真っ黒な床、真っ黒な空。 にしては前の方がやけにカラフル。 赤やら青やらが目に眩しい。 良く見ると人の形をしているみたい。 更に丸い盾も持っていて、兵隊っぽい雰囲気かな。 近付いて調べてみたけど… 動かないし、大きいし、正直邪魔。 放置放置。興味ないし。 近くのもじゃもじゃしたものも気にせず踏んでいく。 変な音がして、少し楽しい。 行っても行っても、人型のオブジェともじゃもじゃ。 余りに変化がなくて単調なゆめにうんざりしてたら、 目の前を、猫の顔の形をしたコイン的なものがくるくる回りながら通っていった。 あ………猫だ…。 ってぼーっと見てる場合じゃないでしょ、自分! 我に帰って追い掛ける。 やけに動きが速くて、捕まえようとするけど、横に避けられたり、逆に回り込まれたり。 やっと捕まえたのは、息切れ切れで汗びっしょりな状態。 服のせいもあるんだろうなー…。 とか思いながら、ふぅと息をつく。 腕の中で暴れる猫コインを離して、リストを取り出して「ねこ」の文字をなぞる。 う…これは…。 可愛いには可愛いけど…うん…。 流石に猫の耳と猫の尻尾はちょっと抵抗ある…。 おまけにおさげも無くなってショートになってやけに似合っちゃうし…。 誰も見てないのに恥ずかしがる私。 だって猫の耳と猫尻尾だよ!? って…私は誰に言ってるんだか。 とりあえず、このアイテムを使ってみる。 にゃ~にゃ~。 きっと私の顔はかぁ~っと赤くなって湯気が出てるに違いない。 あーもう!恥ずかしさで私を殺す気っ!? もうやだっ!ばかばかっ! もう何に怒ってるのか分からなくなってきた。 早く出よう。 恥ずかしさでおかしくなりそう。 なんて思いながら扉を出た。 実は気に入ってた、なんて言えないわね。
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