‐いつかめ‐

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顔を超えると、また道路。 だけど雰囲気が明らかに違う。 道路が少し広くなってるし… どことなく、暗い感じ。 とりあえずそのまま真っ直ぐ進む。 妙に生臭い…。これは… …血の匂い。 嫌な思い出が鮮明に蘇ったけど、即刻脳内の映像を消した。 私は進むの。邪魔しないで。 目の前には、顔が緑色で、血溜まりの上で寝てる男性の死体。 それを自転車の上から見下げる私。 交通事故…よね…この状況。 かわいそうに…。 自転車から降りて、手を合わせる。 するとまた、ふっと体の中に入る感じ。 「しんごう」の文字が赤く染まっていた。 今日は試さないでおこう。 そういうのも良いわよね…? 来た道を戻る。 脇道の先に、赤い太い紐みたいなのが見えて、素直にそっちへ行ってみる。 赤い紐がマンホールからひょろっと出てた。 触ると、細い道に出た。 ゴツゴツした白い道。 空気の威圧感が変わった。 白黒の世界の空気。 紐を触って上がる。 目が付いた胴から巨大な足が伸びて、道の上で止まっていた。 動く気配はないからさっさと進んでいく。 だって、気持ち悪いし、怖い。 この空気が。この白黒が。この世界が。 出た先には、大きな心臓から手足が生えて、目が付いて、口部分が歯ぎしりみたいなのをしてた。 見上げる程大きい。 そうだ、あのアイテム使ってみよう。 まあ私の気まぐれだけど。 青から赤に変える。 歯ぎしりが消えた。 なるほど…このアイテム、動きを止めるのか。 頬をつねった。 段々、現実が現実と分からなくなってきていた。
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