‐むいかめ‐

6/8
前へ
/100ページ
次へ
にこりと笑うと、また先生はピアノの方へ。 自暴自棄にならない…か。 私に出来るのだろうか。 私みたいな、弱々しい心で、そんな大きい負担を抱える事が出来るのだろうか。 大丈夫。きっと。 そんな気がした。 そうだ、ちょっと先生をたぶらかしてみるかな…。 とか、変な事を思い付いた私。 我ながら、馬鹿らしいけど… それもそれで面白い。 こっそりと、ねこの文字をなぞる。 ねこの耳と尻尾を装備した私は、先生の肩をぽんぽんと叩いて、ニコニコ笑顔。 「ん? ……………。」 真っ赤な顔になって目を逸らして。 …可愛い。 にゅ~っと先生の顔を覗き込んでみる。 また目を逸らす先生。 …って、私、なんて嫌な笑顔。 「あの…その耳と尻尾は…取ってくれないか…。えっと…だな…ピアノが弾けないから…」 流石に先生が可哀想だったから外した。 ちょっと残念かも…。 また先生はピアノを弾き始める。 私はちょっと探索。 某番組の、あの人じゃないけど。 ピアノの部屋の奥にも扉。 開けると、やっぱり白い部屋。 とても大きくてふわふわしたベッド。 …ちょっと羨ましい。 もぞもぞと入り込んでみた。 暖かくて、直ぐに瞼が重くなってきた。 先生、少しベッドを借ります…。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

438人が本棚に入れています
本棚に追加