‐むいかめ‐

7/8
前へ
/100ページ
次へ
サイレンの音がうるさい。 何なの…一体…。 起き上がって、先生のピアノのとこへ。 やけに慌ててる先生。 窓から見える、下から上に上がっていく景色…。 って…これってマズい状況じゃないのっ! 今更気づいた私はあたふたあたふた…。 結局ピアノに掴まってこの場を凌ぐ事にした。 しばらくして、凄い衝撃がして、サイレンも静かになった。 「危なかったな…。怪我はしてない?窓付きさん?」 お尻を叩いて、コクリと頷いた私。 ちょっと外へ出てみよう。何かあれば良いんだけど。 飛行船の階段を降りて行く私。 「ここで待ってるよ。」 見送る先生に、笑顔のお礼をして、私は階段を降りきった。 景色は、まるで火星。 赤っぽい地面。赤っぽい岩。赤っぽい空。 唯一目立つモノって言ったら、赤っぽい山みたいなやつ。 私はその山を登って行った。 自転車だとガタガタするんじゃないかな…とか心配したけど、大丈夫。 一生懸命こいで頂上へ。 小さい穴。これだけしかなかった。 余りにも不自然なのよね…この穴。 不信に思って覗き込むと、私はいつの間にか穴の中に居た。 色々と廃材っぽいのが置いてあるから、きっと何かの施設だったんだろう。 研究所か何か。そんなイメージ。 奥がぼんやりと青く光ってる。 近付くと、一つ目で一つ脚の大きい妖怪みたいなのが、ポタポタ涙を流して居た。 何故泣いてるの? 思わず、そう口にした。 答えがあるわけでも無いし、無駄だって分かってたけど。 私の心だ、これは。 そう思った。 心が泣いてるんだ。 本当の私が、素直な私が、泣いてるんだ。 ごめんね。 青い怪物さんの脚をぎゅっと抱いた。 涙は止まらないけど… 少し笑っているみたいに見えた。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

438人が本棚に入れています
本棚に追加