‐ここのかめ‐

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いつまでもこうしてる訳にはいかないわね…。 目を開いて、また歩き出す私。 この光るタイルの感じからして、分かれたりする道はなさそう。 歩きながら、そう思った。 直線なら楽で良いわね。 しばらく歩いたら、入り口のないピラミッド。 それも沢山。 この先に何かある…としか考えられないオブジェ。 勿論、私はためらいなく進んだ。 その先は行き止まり。 道がないかわりに、赤いタンスみたいな生物がふわふわ浮いていた。 何…これ。 触ろうとすると、何故か手が動かなくなった。 突然視界が開けた。 赤黒い通路。 黒い壁。 何もかもが赤黒い色で染まっていた。 何ここ…。 何で、こんなに、気持ち悪いの…? 何で、こんなに、怖いの…? 突然、ガンガンと頭痛が起こって、頭を抱えて座り込む私。 余りの痛さに狂いそうだった。 「奴」の笑い声が響く。 どこから聞こえるのか分からない。 あちこちから、着実に、私に近付いてくる、狂気の声。 逃げないと…。 頭痛のせいで、目の前がぼんやりしてきて、体も言う事を聞かない。 でも私は、無理やり動かして、自転車を必死に漕いだ。 笑い声は消えない。 寧ろ段々近付いてきてる。 動いてっ もっと動いてよ、私の体っ 目の前が、段々赤く染まっていく。 何も見えない。 赤黒い色で私の視界は消えていた。 お願い だから 気付いたら、森に居た。 頭痛は消えていて、目も体もおかしくない、普通の状態。 逃げ切った。 ほっと息をつく私。 あの赤い世界は、何なのだろう。 地獄。 血で染まった、地獄。 きっとそう。
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