‐ふつかめ‐

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グオングオンってファンが回る感じの音に気が付いて、目を開けた。私は真っ黒な地面の上に寝ていた。 正確に言えば、真っ黒な部分に。 上半身だけ体を起こして見渡してみる。 青とか紫とかのタイルみたいなのが並んでいた。まるでどこかへ導くように伸びるのもあったり、乱雑に並べてあったり…。 私はゆっくりと、警戒しつつも起き上がる。 地面も空も真っ黒。どこまでが空で、どこまでが地面なのか分からない。 立っている感覚が無くなってきた。と思ったその時、私の視界に入ってはいけないものが入ってしまった。 空に浮かぶ、ゆっくりと動く、何かの大きな臓器のように見える背景。 見え方は人それぞれだけど、あの赤と青の配色は、私からしてみれば、完全に臓器。摘出したばかりの臓器の断面。 私は吐いていた。無意識の内に。 ゆめなのに、口の中は胃液の味で一杯。 落ち着く事なんて出来ない。出来るはずがない。私のゆめは、わたしは 一体ドウシタッテイウノ? 一通り吐き終わった私は、まだ続いている吐き気に耐えながら立ち上がった。 ほんとはもう目を覚ましたかった。 けど、このまま前に進まないのは、負けず嫌いの私には許されない事。 きっと他の扉もこんなのばっかりなんだろう。 だったら私もいちいち怖がらない。 こんな…こんなゆめになんか… 狂った私のゆめになんか、絶対に負けない。
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