第壱幕 来訪者

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「******。********、****!」 「*********!」 古びたテントの中で、迷彩の服に身を纏った恐持ての男たちが口論を繰り広げる。 1つのテーブルを十数人の軍曹、とでも呼ばれそうな男たちが囲んでいた。 顔立ちや少し色黒な所を見ると、どうやら東南アジア系の人物である。 そこには地図が数枚無造作に置かれ、複数の赤丸が描かれ、そこから線が多数ひかれていた。 天井から吊るされた1つの裸電球がテント内を微々ながら照らしていた。 日本では聞きなれない言語で会議は行われている。 一般人ならばそのピリピリした空気に3分もいられないだろう。 だが、そんな激しい空気の中に1人だけ場違いな人物がいた。 他に比べと顔立ちは一回り小さく、まだ16、7ほどの日本人の少年だった。 服装もジーパンに胸元が少し開いたTシャツと、かなりラフな服装である。 少年はテーブルに肘を乗せ、更にその上に顎を乗せていた。 そして目の前に散乱している地図に目を落としている。 「ジャップ!OK?」 強く机を叩き、少年の少年の男が指を指してきた。 少年はそれに対して目を向けることはなく、ただ左手で丸を作った。 それを了承した、と解釈した男たちは一斉に席を立った。
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