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それを見た少年もダルそうに立ち上がった。
そして首の骨をコキコキ鳴らしながら、誰よりも先にテントから退出した。
「カーネル、奴は大丈夫なんでしょうか?」
「いくらECOのエージェントとはいえまだガキですよ?」
少年を見送った男たちは先程正面に位置していた男の元に集まった。
「今回はここミンダナオ島でのモロ族の鎮圧。もしかしたらフィリピン史上最大の激戦が予想されている。我々が勝てるのなら悪魔にだって魂を売ろう」
騒ぎ立てる部下を宥めるように男は静かに言った。
その冷静な態度に他の男たちは自身の軽はずみの発言を後悔した。
フィリピンでの宗教問題は世界中にも知られており、教育課程で習うこともある。
その問題を全て解決するのがこの作戦の根本的なものだった。
通称フリースタイルの名を持つECOに助けを求めたのもその為だ。
自国の事を他人に頼るなど持っての他だが、何しろ扱う事柄が大きすぎたのだ。
だがECOから戦闘のエキスパートとして派遣されたのは日本の少年。
明らかにふざけていると苦情を送ったが、それなら帰ると言われて渋々参加させることになった。
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