魔法使い

7/16

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
ドンッと肩と肩がぶつかった ふわぁっと何か甘い香りが鼻をかすめた。 「あ、ご、ごめんなさい!今ちょっと急いでて!!本当、ごめんなさい!!!」 彼女からだろうか? 申し訳なさそうに 何度も何度も激しく頭を下げ、謝るたびに、やはり甘い香りがする。 お菓子のような、ケーキのような、とにかく甘い。 だが、だからといって違和感はなく、むしろ彼女のイメージにぴったりだ。 「あ、いえ。大丈夫ですよ?だから、そんな謝らないで下さい。」 苦笑し、戸惑う私。 ただ肩がぶつかっただけなのに そんな謝られたらだんだん私にも罪悪感が芽生えてしまう。 「本当にすみません。あ!早く行かなくちゃ!失礼します!!」 そう言ってタタタッと走っていってしまった。 なんか忙しい人だなあ。 でも、あの子・・・制服じゃなかった・・・? ウチの学校の制服はバリエーション豊かで スカートといってもチェックや無地、色も赤や紺や黒などたくさん種類があって、特にこれといった指定もない。 基本自由なのだ。 でもさっきの子は確かに一見制服チックだった。 胸元が適度に開いた真っ白なワイシャツ。 鎖骨の辺りにキラキラ光る星をモチーフとしたネックレス。真っ赤なプリーツ、茶色のチェック模様のミニスカート。 手首には薄ピンクの生地に白いドットのシュシュ。 でも、よくよく考えると、こんな制服はない。 また、可愛らしいメイクもされていた。 茶色のアイラインにベージュのシャドウがピンクのファッションを際立たせ、 淡く控えめなグロスが 唇が動くたびにキラキラと輝き、思わず目が奪われてしまう。 そんな魅力的なメイクだった。 髪型もふわふわとカールされていて 全身的に可愛い後輩!という感じ。 あの子、かわいかったなぁ。なんて、女の私から見ても思ってしまう。 「あ!あたしも早く職員室に行かないと。」 しばらくボーッとしてた私は手に持つ課題の重さに気が付き 急いで職員室へと向かった。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加