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「はぁ~、報われねぇよなぁ、俺ってつくづく…」
「どうしたんすか?いきなり」
橋の手すりにもたれて天を仰いだ千秋修平に、鳥越隆也は苦笑した。
秋晴れのすがすがしいこの季節に、男二人で待ち合わせよろしくこんなところで突っ立っているのもどうかと思うわけだが、よく考えてみたら、直江のように暑苦しい男とのこういうシチュエーションも以前はあったわけだから、となりにいるこいつはまだマシかと思い直す。
「お前さぁ、疑問に思わねぇ?」
「なにが…?」
きょとんとしている隆也に、千秋はあきらめたように再びため息を吐いた。
そこへすかさず一言。
「ため息つくと、幸せ減りますよ、千秋さん」
不意をつかれて思わず咽せかけた千秋は、さらに力が抜けたと言わんばかりに隆也の両肩に手を置くと、三度目のため息をつく。
(こいつは成田譲(白)か……)
「千秋さ~ん、俺が言ったこと聞いてます…?」
千秋のため息のオンパレードを、隆也は情けない声で嘆いた。
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