7人が本棚に入れています
本棚に追加
その日から毎日、ボクは自分の食事を少しずつ、お継母さんたちに見つからないように取って隠し、そぉっと池の魚に食べさせていた。
今日もそうした。
ボクたちはとても仲良しだった。魚はボクにしか姿を見せない。他の誰にも。
あれから三年経って、魚はずいぶんと大きくなっている。ボクの体の二倍以上もある。
体は紅いヒレがあって、所々がキラキラと光っている。まるで虹のように。そしてその目は、今も素晴らしい金色をしている。満ち足りた日の月のようだ。
ボクたちはまるで恋人同士のように仲良しだった。食べ物をやりながら、その背中を撫でてあげると、紅いヒレを
「ルンルン」
と振って水を跳ねた。
まさか、お継母さんがボクたちの様子を、コッソリ見ていたなんて、そのときのボクは気づかなかったんだ。
最初のコメントを投稿しよう!