燃え殻

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事件は次の日起こった。 ボクが山向こうから帰って、いつものように池に寄ると、ボクの魚が顔を出さない。ボクは呼んでみた。だけど魚は浮かんで来ない。水もゆらともしない。おかしい。こんなことは今まで一度だってなかったもの。 いつまで呼んでも魚は出て来ないので、ボクは仕方なく家に帰った。 いつになくお継母さんたちが満足そうにしている。 「おや? カマド猫のシンデレラじゃないかい? 遅かったね。お前があんまり遅いから、取って置きのご馳走が全部なくなってしまったよ? お前ももっと早く帰って来たら食べられたのにねぇ? オッホッホッ!」 ご馳走なんかどうだって良かった。ボクは抱えてきた水桶を下ろして、もう一度池に走った。 今度は水に入ってあの黄金の宮殿まで行ってみた。けれど魚はいない。ドレスと靴だけがそこにあった。 水は、ゆら、ともしなかった。
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