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水から上がったボクは、原野をさまよってた。
地平線まで何もない原野を。
ボクは魚が、「何故、いなくなってしまったのか」おぼろげに感じていた。
でもそれを信じたくなかった。
ふつふつと湧き上がるその、おぼろげな感じを打ち消そうとして、ボクは目暗滅法に歩きまわった。さまよい歩き続けた。
陽射しがすっかり傾いた頃、白い鳩が飛んで来てボクの肩に泊まった。
それは母さまの墓所のヘーゼルの木に住んでいる鳩だった。
鳩はボクの肩で一声鳴いた。
それで全部判った。判ってしまった。
ボクの魚は、ボクの服を着てボクになりすましたお継母さんが、留守中に殺して食べてしまったのだと。
信じたくなかった思いが当たっていたんだ。
ボクはもう何も考えられなくなって、その場にうつ伏した。
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