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「ここがホームという場所なのはご存じかな?」
『はい。ロイさんに聞きました。』
奥に案内されて本棚の脇を通るとテラスのような少し広くて散らかってない所に着いた。
「エルマぁ?エルマぁ~?」
ジャンが誰かを呼んだ。だが返事はなくそのまま白い丸テーブルを挟みイスに腰をかけた。
「ふう。どこから話せばいいのやら。」
『何で僕はここにいるんですかね?』
「あぁ皆ここに来るんだよ。死ねばな。」
『はぁ…あの~もう少し詳しく教えてもらえませんか?』
「あぁ。そうだなぁ。」
ジャンが困った様子で頭を掻きむしると突然奥から背の高い美人な女性が現れた。スーツではなく白いドレスで黄金色の長い髪にとても似合っていた。
「ジャン様。お目覚めになりましたか?」
「エルマ遅いぞぉ。もう13分も遅れているではないか。」
「ジャン様がトオル様の約束を忘れて呑気に書物と遊んでいらっしゃるから起こさなかったんですよーだ。」
「ふん。」
ジャンはエルマが置いたカップをすぐさま手に取り香りをかぐとご満悦の様子だった。
「どうぞ。」
トオルの前にカップを置くエルマ。
『ど…どうも。』
「ココアだ。美味いぞ。」
『は、はい。』
「はじめまして。わたしはエルマと申します。ジャン様のお世話係をしております。」
『は、はじめまして。天草トオルです。』
「ふふふ。ジャン様ココアに心奪われてないで早く説明してあげてくださいね。」
「わかっておるわい。」
爺くさい口ぶりの少年と気さくな美人の二人が何だか姉弟に思えた。
「まずはこの世界の仕組みをパパっと説明しよう。」
恐る恐る口にふくんだココアが本当に美味しくて少し驚いたが黒髪の少年の顔をよく見たら左眼だけが深い青色をしていてゴクンと音をたてて飲んでしまった。
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