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お金持ちのマダムに「月50万で、専属の愛人にならないかって誘われてるんだけど、そんなことしたくないんだよね」
彼は、そう言って、わたしの指に、きれいな指をからめた。
恋愛関係になったかのように振る舞い、ベッドを共にして、客が離れないようにするのが「枕営業」というのだと知ったのは、すでに何度かベッドを共にしてからだった。
ときどきくれるプレゼントは、他の誰かと(正確には他の誰か複数の女の子たちと)まったく同じ物だった。
同じ物なら、誰に何をプレゼントしたかなんて覚えなくていいからなのだ。
終わらせたのはわたしだった。
言葉の巧みさや、優しい言葉や、ベッドの中でのテクニックが未練だったけれど、貯金も底をつきそうだったし、何人かはそうしたらしいけれど、わたしは風俗には興味はなかった。
風俗で稼いで彼に会うために生きるなんて、そこまで彼を好きじゃない。
何よりも、大勢のうちのひとりでいるなんて、いやだった。
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