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杏門って…
多摩都市モノレール・立川南口駅の真ん前のNACビルB1にあるんだよ。
その階段を下りる時、本当にに心臓が口から飛び出す程ドキドキする。
今日はすごく混んでいる。
なにしろ、年に一度のボウリング大会だから!
……“カサブランカ”……
あの子に用意した花だよ。
それしか思いつかなかった。
楽園に咲き誇る、高貴な純白の大輪のユリ。
ショーのラストに、たっちゃんがヒラヒラフリフリの白いシャツブラウスに、黒のタキシード、シルクハットで踊るんだけど……
あの衣装には、もう・カサブランカしかない!
カサブランカはたっちゃんの花。
喜んでくれるかなあ?
結構大きな束、受付で預かってもらう。
渡す時がすごく楽しみ。
うふふ…顔が笑っちゃう。
案内されて店内へ…たっちゃんを目で探す。ドキドキは極限。
“どこ?たっちゃんはどこ?!居た!!”
一番奥のお客の、カウンター席でしゃべってる。
ゆかた祭りとはうって変わって、ノースリーブ・黄色とグレーのアニメキャラのシャツにジーパン。すごくラフな若者らしいスタイルで、夢中になってしゃべってる。
次女に合図、すかさずビデオカメラ作動。
「お出でお出でしてみなよ」と次女。
手招きした。
ドキドキはもう、失神寸前、パニック状態だわ。
これからビデオカメラとデジカメで、たっちゃんの美しい顔と姿を撮りまくるんだよ~!!
カメラ目線…と言うのは、こんなに遠くからでも感じるらしい。
「あっ?!」っと言う顔して、手を振りかえした。ゆっくりと近づいて来た。
「おはよーございまーす」と、その甘いベビーフェイスとは、およそ似つかわしくない体育会系の大きな声で、元気良く挨拶する。
さて,この子がテーブルに居るのは、たかだか10分、その短い間に聞きたい事、言いたい事をしゃべらなきゃあ…
「お願いがあるんだけど…」
「いいよ、なに?」
「じゃあ,はい…まずこれ」
と言ってサインペンを出す。
「それとこれ…」あらかじめ用意しておいた、質問を書いた紙をたっちゃんの前に置く。
「K子さんへって書いて下さい」と次女が言い、サインペンを持って…
一応は色紙に向かい“K子さんへ”と書いてから、たっちゃんはしばらくじっと考えてペンをしまった。
「ちょっと待って、ちょっと待って。
ゆっくりやろう」
言い残して元の席に戻って行った。
「後で来る」と言ってたけど…なんだ、もう終わりかよ!と思ってたら、本当にすぐに来た。
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