邂逅

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『パラノイア』は、精神病にかかった主人公が殺人方法やその場面を妄想し始め、そこから歯止めが効かなくなり次々と殺人を繰り返すという話だ。 その手の人には有名だが、一般的に認知度の高い作品だとは言い難い。 少なくとも、一般女子高校生が好んで読むような類の本ではない。 「ほら、授業はじまるぞ。いつまでもぼーっとしてるんじゃない」 思考に没頭していた僕は、再び遠藤先生の声で我に返った。 「では、私はそろそろ失礼します」 「僕も授業が始まるので帰りますね。本は読み終わったら返してください」 「おう、わかったわかった。最近物騒な通り魔が出てるようだからお前らも気をつけろよー」 「あぁ、例のスクープアイですね」
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