1363人が本棚に入れています
本棚に追加
まあ、そんないきさつで先ほど自己紹介したわけだ。因みにあと1人。どんな奴だろう。
「聖鈴学園中等部から来ました。夜霧弥生です。」
その声を聴いた瞬間、俺の頭に電撃が走った。
己の最高速度で振り向くと、そこには天使がいた。
小さい顔に引き込まれるような大きくウルウルな瞳を持ちながら、整った顔をしている。
低身長と栗毛色の髪の助けもあり、幼く見える。
しかし、胸部にいたってはグラビアアイドル顔負けのサイズである。
完璧であった。完璧な美少女がそこにはいた。
街を歩けば誰もが振り向くだろう。
だが俺が驚いたのは容姿じゃない。
その名前だ。
自慢じゃないが「夜霧」の名字は世界で俺の一族だけなんだ。
つまりこの娘は俺の親類にあたるわけだ。
正確に言えば―
「久しぶり、お兄ちゃん」
俺のことをお兄ちゃんと呼ぶ娘、夜霧弥生は俺の従妹である。
「いやー久しぶりだね。8年ぶりかな?これからよろ」
よろしくと言えなかった。
弥生の唇が俺の唇と重なり結果として話すことができなかったのだ
どうだったか?
決まっているだろ。
何も考えられねーよ!
「えへへ、これで思い出してもらえたかな?私がお兄ちゃんをだ~い好きだってこと。あ、今ももちろん大好きだよ」
弥生は頬を赤く染め、軽く舌を出しながら可愛くそう言った。
可愛ければ何もかも許されるとでも思ってんのかねこの娘は。
こっちはかなり恥ずかしいぞ!
あっけにとられていた担任が弥生を諫めると、弥生はゆる~く受け流し、席に着いた。
これ以上にインパクトのある新学期の自己紹介があるだろうか。
あったら是非教えて欲しい。
商品券5万円分やるから。
最初のコメントを投稿しよう!