プロローグ

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学級委員長選出などといった新学期のお約束イベントを終え、昼食である。 当然のことながら長野から引っ越して来た俺には知り合いがいない(約一名バカな娘を知っているがこの際除外する)。 しかしながら、俺は案外社交的なのだ。 休み時間の間に近くの男子生徒に声を掛け、昼食の約束をしておいた。 俺は前の席に座っている山本と机をくっつけ弁当を食べようとした。 すると、女性の声がした。 「ねえ、拓哉くん。その弥生さんと付き合っているの?」 なんとクラスの女子が俺に話しかけてくれた。 嬉しい。感激ですとも。 俺は否定しようとした。 が、できなかった。 理由?前回と同じですよ。原因はバカ従妹だよ。 そいつが俺の制服の襟をむずと掴んで引き寄せたのさ。 そりゃ、びっくりするさ。 後頭部は机に激突するし。 「ごめんね。ちょっとお兄ちゃん借りていくね」 薄れゆく意識の中、バカの嬉しそうな声を、俺は聞き漏らさなかった。
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