第一章

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十真(とおま)達は川辺にキャンプをしにきていた。キャンプ、とはいっても体当たりすぎた。 友人達は十真を誘うのに全力を注ぎすぎて、『テント、食料』などを用意するのを忘れていた。唯一持ってきたのは釣り用具のみ。 十真:「…野宿キャンプ…か」 十真は友人達の背中を見て小さく微笑む。今年のひと味違う夏に期待していた。 その川辺は近くに駐車場があるが、キャンプ場という施設ではなかった。 友人達:「十真~十真、早く来い~」 友人達は十真の名前を連呼する。十真は少し高いところから川を見下ろす。川はそんなに広くないが、とても綺麗だった。 十真:「へぇ?、こんな場所にこんな場所があるなんて…知らなかったなぁ…」 友人①:「だろ!?、俺の秘密の遊び場だっ」 友人①は親指をビシッと立てて満面の笑みを十真に向ける。十真は自然と笑顔になる。 十真:「一一遊び場にかけてはお前…一段と長けてるからなぁ…」 そう口にすると友人①は満足そうに頷く。 友人①:「分かってるじゃんか!、流石は俺の幼なじみ♪」 十真:「幼なじみじゃなきゃ…とっくにお前をいろいろと見放してるよ」 友人①はアハハハハハハと笑う。 友人①:「いつもお世話になってまぁ~す♪」 友人①が頭を下げると友人達は大爆笑する。 十真は勉強が苦手すぎる友人①をテスト前になると救いまくってきた。それを知る友人達は笑う。 十真:「さて…テントや食料がないキャンプ…何をする気なんだ?」 十真の言葉に友人達が「うっ」と言葉を詰まらせるが、友人①はニコニコしている。 友人①:「夜はあの駐車場で雑魚寝するだろ?、んでな、食料はこの川の魚を釣って…他はあの森からさがすんだ!!」 友人①は胸を張って川の向こう側に広がる森(?)を指差す。 十真・友人達:「………」 友人①はニコニコと笑顔を絶やさない。友人達はゆっくりと十真の顔を覗く。すると十真は長い長いため息を吐くのを見て、ドキドキと恐怖を覚える。 十真:「あのなぁ…」 十真は額に片手を置いて頭を抱える。 十真:「一一その野性根性…丸出しの行き当たりばったりの遊び…いい加減にやめねーか?」 友人①:「フハハハハ、懐かしいだろ?」 友人①は十真にウインクをする。image=293572033.jpg
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