第六章

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ザイル族:「よっしゃーっ!、後は俺に任せなーっ」 ザイル族が張り切りながら十真(とおま)の風玉に向かっていく。 十真:「あ…あれは一一」 そのザイル族は十真を土人形の時に助けてくれたメトンという妖精を連れた人だった。 ザイル族:「メトン、俺らも人間ボーイに負けちゃらんねーぞ!」 メトン:「アイアイサー!」 メトンの掛け声と共に二人の身体が光り輝くと、ザイル族が右手で十真が作った風玉の中に突っ込もうとした。 ザイル族:「!」 ザイル族は突っ込もうとした瞬間に十真が作った風玉に穴が開いた。 彼はメトンと見合ったが小さく笑うと、手を突っ込んだ。 ザイル族:「ぬりゃっ…水浴びタイムだーっ」 そう叫ぶと、水を風玉に注ぎ込む。その水は十真の風玉を伝い、元土人形を包み込む。 元土人形は水に溺れることはなかったが、まだ身体に水は触れていない。 ザイル族は一周した水を感じとると、その表面から水を垂らす。 元土人形は突然の放水に無意味に第二の腕をモニョモニョと動かす。 メトン:「旦那、奴は完全に水没してますぜ!」 それを聞いたザイル族はニヤリと笑う。 ザイル族:「おし!、メトン…『急速冷凍(フリージング・レイピッド)』を発動だ!」 メトン:「了解」 再び二人の身体が光り輝くと、元土人形を包み込んで水没させた水が急速に凍り始めた。 ザイル族は十真を見ると、叫ぶ。 ザイル族:「人間ボーイ!、魔法を解いていーぞ」 ニカッとザイル族が笑うと十真は魔法を解く。 すると、氷に包み込まれた元土人形がゴトンと音をたてて砂漠の砂地にめり込んだ。 メトンのパートナーであるザイル族は十真に向かって親指を立ててウインクをした。 十真は戸惑いながらもフォルメントを見ると、彼女は満足そうに微笑んでいた。 十真はフォルメントの笑顔で実感したのか、喜びでテンションが上がる。 十真:「もしかして…今回の対戦で…俺、俺が役に立ったのか!?」 わなわなと喜びに震えながらガッツポーズをした瞬間一一 後ろにフラッ…とふらつく。 十真:「あれ…?」 チカッと目の前が暗く、霞(かす)んでいく。
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