第六章

18/18
前へ
/1380ページ
次へ
ゼファルは十真(とおま)を抱えたままクレイフィンの様子を見た。 シンザス:「(へぇ?…あのクレイが他に興味を持つとは…)」 シンザスが笑っていると、視界に十真を気にするフォルメントの姿が目に留まる。 フォルメント:「(トオマ…)」 フォルメントは何ともないということが分かっていても、やっぱり心配だった。 シンザスはため息混じりにゼファルを急かして十真を部屋に案内するように誘導したのだった。 < 光りの壁前 > ゼファルは十真を抱えて光りの壁の前に立っていた。 ゼファルは十真を彼の部屋に連れていこうとしていたが、クレイフィンの左耳が微かに動く。 すると彼女はゼファルに言う。 クレイフィン:「ゼファル、後はお前に任せてもいいか?」 ゼファルは頷く。 ゼファル:「うん。俺もトオマを送って直ぐに部屋に帰るから…後は自由行動でも大丈夫なんじゃないかな?」 クレイフィン:「そうか…またな」 クレイフィンはそういってその場を去る。 シンザス:「(…おい、ゼファル…)」 シンザスがゼファルの脳裏に囁く。 ゼファル:「(…分かってる…でも今はトオマを一一)」 シンザスは『この時』のクレイフィンには決して付いていかないティニーを心配そうに見た。 シンザスはそんな彼女を優しく肩を抱き寄せる。 シンザス:「…大丈夫だ…クレイはきっと一一」 ティニー:「うん…」 フォルメントはシンザスとティニーのやり取りと、ゼファルの微妙な表情を見て不思議そうにしていた。 フォルメント:「…ティニー、クレイを追い掛けなくても良いの?」 ティニーは小さく頷く。 ティニー:「うん…彼女には彼女の用事があるから…ごめんね、今はこれ以上…私からは言えないんだ」 フォルメントは彼等の表情からクレイフィンに何かがあるのを感じとる。彼女はそれ以上は何も聞かなかった。 そして、十真を部屋に運び込むと、彼の目覚めを待たずしてゼファルとシンザス、ティニーは部屋を後にしたのだった。
/1380ページ

最初のコメントを投稿しよう!

257人が本棚に入れています
本棚に追加