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< 十真の部屋 >
ゼファルが十真(とおま)をベッドに横たわらせると、フォルメントに「君もゆっくりと休むんだよ?」と声をかけて去っていった。
フォルメントは十真が目覚めるまで、ずっと枕元を何時間も離れることはなかった。
基本的に、妖精は食事を摂取する必要はない。食事の代わりに彼等はパートナーの『活力』を分けてもらっていた。
フォルメント:「(トオマ…)」
フォルメントは閉じられた目を見つめたまま、枕元にひざまづくようにして十真の額を前髪ごと撫でる。
今回の対戦で十真はきちんとした魔法を放つことが出来たが、フォルメント自身も久しぶりのパートナーとの魔法の発動だったので彼の身体を心配していた。
フォルメント:「(…ミハルとの対戦から…もう何年…うぅん…もうそれ以上かしら?一一やっぱり…上級と階級なしの発動する魔力の使い方に違いがあるみたいね)」
感覚が鈍っていたようで、自分の魔力を発動する力が十真よりも大きすぎた為、彼が『容量超過(エクシス・キャパシティー)』を起こして気絶してしまったのかもしれないという考えに達する。
フォルメント:「(あたしも気をつけなきゃいけないわね…。でも…それでも一一あたしの魔力をきちんと吸収しながら…トオマが魔法を発動させたことには驚いたわね)」
フォルメントは額を撫でながらそう思っていると、十真の瞼(まぶた)が微(かす)かに動く。
フォルメント:「!、トオマ…?」
フォルメントは枕元から飛田って、十真の顔を覗き込む。
十真:「………ん」
十真の瞼がゆっくりと開き、フォルメントを見て小さく微笑む。
十真:「一一大丈夫…俺は…君の全てを受け止めるから一一」
フォルメント:「…ぇ?、トオマ?」
フォルメントは確かに十真から見つめられながらそうはっきりと言われた。
しかし、十真はそう言うと再び瞼を閉じた。
十真:「一一って、うわぁっ!?」
閉じた瞬間、十真は大きな声をあげて跳ね起きる。
フォルメント:「!?、きゃあっ」
フォルメントは驚きと、十真の跳ね起きに巻き添えをくらいながら、ベッドの上に転がり落ちる。
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