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フォルメント:「(そうね。あの現象は階級なしでは珍しいわね)」
十真:「(やっぱり)」
フォルメント:「(あたしが思うに一一ラミセルドのせいじゃないかと思ってるの)」
十真:「(ぇ?)」
十真は目を丸くしてフォルメントを覗き込む。
フォルメントは十真を見上げる。
フォルメント:「(あの人の持つ基礎能力が妖精達の見込んでいた土人形の限界を甘く見てたってことよ)」
十真:「(成る程…だから初級者の時にあんな現象が起きなかったのか!)」
十真が歩きながら頷いていると、通路の先に見慣れない塊を発見する。
立ち止まると、フォルメントが不思議そうに彼に聞く。
フォルメント:「…どうしたの?」
思わず声を口に出す。
十真:「いや…あそこに…奇妙な集団が一一っ!」
「いる」と言いかけた瞬間、十真は通路を駆け出していた。
フォルメント:「きゃっきゃっ一一ちょっと~!?」
フォルメントは急に駆け出した十真の左胸ポケットの中で服にガシッと掴む。
十真:「ごめん、フォルメント…あの集団の正面に一一クレイフィンが…」
フォルメント:「ぇ?」
フォルメントが左胸ポケットから飛び立とうとした瞬間、十真は十字路になった通路の横壁からうにょっと手が伸びて来て羽交い締めにされる。
十真:「もがっ!?」
「誰っ!?」と叫びながら、その集団から姿を隠すように十字路の側壁に引っ張られる。
十真が見上げると、そこにはゼファルがいた。
ゼファルは対戦中のような真面目な表情をし、クレイフィンを囲むように立つ集団を睨んでいた。
シンザスはパタパタとゼファルの傍にいなかった。
十真はゼファルの真剣な面持ちを見て自然と緊張していた。
やがてゼファルはクレイフィン達を見るのを諦めて十真を解放する。
ゼファルは彼に何度も頭を下げる。
ゼファル:「トオマ、ごめんっ!一一彼女達にトオマや俺の存在を知られちゃマズイと思って…手荒な真似を」
十真:「いやー…びっくりしたんだけど…クレイフィンがポアスティング族の仲間といるのを初めて見たよ。それにしても…ゼファルはシンザスを連れずに何してたんだ?」
ゼファルはちらっとフォルメントを見る。
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