第二部・英雄

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ゼファル:「そうなんだ…なんか知らないけど一一ウルフハウンド族とポアスティング族は昔からいがみ合ってるみたいなんだ…」 フォルメントが頷く。 フォルメント:「一一クレイの種族が『女尊男卑』、ゼファルの種族が『男尊女卑』…相入れないのは当然かもしれないわね」 十真:「成る程…でもさ、なんで同族のもとを去ったクレイフィンを未だに彼女達は付き纏(まと)っているんだ?…去ってからかなりの時間が過ぎているような…」 十真の問いにフォルメントもゼファルを見た。 ゼファル:「それは一一俺も知らないんだよ…だからクレイを心配して見張ってたっていうか…」 十真とフォルメントはため息を吐く。 肝心なところで役に立てないのがゼファルの性格だった。 行き詰まった十真達はクレイフィンを監視するというか、遠目で見守ることを同意することになった。 ゼファル:「あ…そういえば…順番が変な風になっちゃったんだけど…」 ゼファルはそういってはにかみながら十真に笑顔を向ける。 十真:「何だよ?」 ゼファル:「魔法の発動、おめでとう♪…発動が出来たってことは一一俺の問いの答えは出たってことで良いんだよね?」 十真はゼファルにニカッと笑う。 十真:「もちろん!、でもゼファルの問いの答えとは違うかもしれないけど一一その人に教える『優しさと親切』はどちらもその人のためにならないってことが分かった」 ゼファルはその言葉を聞いて、小さく微笑む。彼が微笑むのを十真は気付かない。 十真:「その人のために自分が何かやろうと思う時点で…その人の努力の妨げになるっていうことが分かったんだ」 ゼファル:「…成る程」 フォルメントは十真に何か言いたそうにそわそわとしていた。 彼女は十真に『優しさ』でコツを教えようとしていた。 ゼファルは『親切』で道を教えた。 十真:「今回の対戦で一一同じ世界の西洋系の人を助けた時に俺はどちらかというと、『優しさ』で助けてた。そしてあのザイル族のおっちゃんに助けてもらった時は『親切』だと思う。一一俺がして、俺がやってもらって一一どちらもその人のためにならないと思ったんだ」 ゼファルは何度も頷く。
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