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ゼファル:「そうだよ。一一この世界の住人にはその二人はためにならない。今回は魔法の発動の話だったけど、その気持ちは忘れないで。一一君の魔法道はこの答えの中にきっとあるはずだから」
十真(とおま)は頷く。
この言葉の中には、『攻撃・防御・両方』のどの道を歩んでいくのかを決めるのを遠回しに言っていた。
それが十真に伝わったか分からないが、それ以上、この話に触れることはなかった。
< 次の日 >
十真は支度を整えて通路にいた。
今日は対戦がある日ではなかったが、クレイフィンの話を聞いて部屋でじっとしていることが出来なかった。
フォルメント:「………」
フォルメントは十真の心境を心配して、左胸ポケットの中でそわそわしていた。
十真は通路を歩きながらも、ポアスティング族の集団をさがしていた。
彼としては仲間が関わることをほっとけなかった。
そんな時、ふっ…と滝の画面に目がいく。
十真:「(…クレイフィンの問題に俺達が関わるのもいけないんだろうなー。ん?、あぁ…対戦が今日も行われてるんだ)」
特に今行われている対戦を見たいとは思っていなかった十真だったが、自然と滝の画面に引き込まれるようにして見入っていた。
すると、十真の肩を誰かが叩きながら声をかけて来た。
?:「よぉ、人間ボーイ!、今日はお仲間はいないのかい?」
十真:「わっ…昨日の…ザイル族のおっちゃん!?」
そこにはラミセルドとメトンがいた。
ラミセルドは十真の隣に立つと、滝の画面を見上げる。
十真:「ザイル族のおっちゃんは観戦しに来たのか?」
ラミセルド:「ん?、『は』ってなんだ?お前は観戦しに来たんじゃないのか?」
十真はラミセルドの言葉に「ぅ…」と詰まる。
ラミセルド:「…どうした?、あの二人と喧嘩中なのかよ?」
十真は慌てて頭を振る。
十真:「まさかっ!、ゼファルとクレイフィンとしないって!」
ラミセルド:「ふ~ん?…でもなんか昨日と何か様子が違うような気がするぜ?一一仲間に話せないようなことなのか?」
十真はゆっくりとフォルメントを見る。彼の困った眼差しで彼女に助けを求めてみる。
ラミセルドは十真の視線を追ってフォルメントを見たが、メトンを使って視線を遮る。
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