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十真とフォルメント、ラミセルドとメトンが通路で再会して話している頃、ティニーとシンザスは眠らない溜まり場(レスト・センター)の真上に位置する妖精だけが集まるBAR(バー)にいた。
< BAR >
そこは訳ありの妖精達が集う秘密の場所だった。
訳ありというのは、『パートナー同士が争う種族』や『ライバル』、『性格上合わない』といったものだった。
ティニーやシンザスのような場合は少なくはないが、その場にいた妖精達は周囲の話は気にしていなかった。
ティニーはBARの丸いテーブルで頭を抱え込みながら悩み、シンザスはそんな彼女の肩を抱いて共に悩みを打破しようと考え込んでいる様子にみえた。
ティニー:「…どうしよう…どうにか出来ないのかな??、クレイのこと…私のせいであの人が一一」
シンザス:「…ティニー…」
シンザスは悲しそうな声音で彼女の名前を口にし、頬を寄せる。
ティニー:「シンザス、どうしてクレイのパートナーが私だったのかな?、もし私がクレイと貴方と出会ってなかったら一一」
シンザス:「!、ティニー」
ティニー:「!?」
ティニーは慌てて自分の口を塞ぐ。彼女は二人に出会ったことを後悔はしていないが、今の現状でつい…本心であり、本心ではない言葉を発する。
シンザスはティニーを優しげな眼差しを送り続ける。彼は小さく微笑む。
シンザス:「ティニー…オレ達、妖精が種族間の問題に口だしすることは良くないけど…このままじゃいけない気がするんだ。トオマやフォルメントが加わった今…どうにかすることを決めなくちゃ…」
ティニーはシンザスを見つめると頷く。
ティニー:「そう…なのに…。クレイが私を絶対に『彼女達』に会わせようとはしないの…っ、何で?…私がそんなに頼りないのかな?」
ティニーは自然と涙目になってシンザスに訴えかける。
シンザスは「ぅ…」とうろたえると、自分に寄り掛かって来たティニーの身体を抱き留める。
ティニーはシンザスの胸に安心しきった様子で目を閉じていた。
ティニー:「一一シンザス、私はこのままで良いんだよね?」
ティニーはシンザスとの関係を続けていて良いのか、不安は拭い去ることが出来ないくらい、クレイフィンが心配でもあった。
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