第一章

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< 翌日 > < クレイフィンの部屋 > クレイフィンの部屋は十真(とおま)の部屋は地球にいた時の自室を再現したもの、ゼファルの部屋はシンザスや自分の趣味に合わせた色に仕上がっていたが、彼女の部屋は特別だった。 その部屋には必要最低限の家具が置いてあったが、それ以外には無駄なものはなかった。 しかし、無駄なものには入らないが、その中でも十真やゼファルの部屋には無いものがそこにはあった。 それは…白くてモコモコしたマットレスだった。そのマットレスはクレイフィンにとって、ティニーに頼んで出してもらったものだった。 彼女が誰かにモノをねだる行為はかなり貴重なことだった。 そんなクレイフィンは部屋に備え付けの家具のようなモノをティニーが出したが、彼女はその白いモコモコのマットレスの上に縮こまって生活をしていた。 今日もまた…クレイフィンは白いモコモコのマットレスの上で目覚める。 クレイフィン:「………」 クレイフィンはゆっくりと目を開けると、普段の癖で部屋に異変がないかを確認をする。 この日もまた異変のない内部に安堵することなく、ティニーの様子を窺う。 昨夜は部屋に戻った時の暗くて沈んだ表情が気になっていたクレイフィンだったが、「ティニーの問題はティニー問題。部外者は口を出してはならない」という妙な信念を貫き、そっとしていた。 ティニーがクレイフィンのことで悩んでいることを今まで全く知らなかった。 クレイフィン:「(…フフフ)」 クレイフィンは悩みを抱え込んだまま眠っているティニーに近寄ると微笑む。 クレイフィン:「(よく眠っているな…。せめて…夢の中で幸せなモノを見るが良い…)」 クレイフィンはティニーが目覚めるまで白いモコモコのマットレスの上で静座(せいざ)をすると、座禅を行う。 しばらくして、ティニーが目を覚ます。 ティニー:「…むぅ…」 ティニーはクレイフィンのいつもの習慣である座禅を見て、頬を膨らませる。 ティニー:「(いつもと変わらないなんて一一クレイ、私って貴女の何なの?…どうして…貴女の悩みを私に打ち明けてくれないのよぉ…)」 BAR(バー)でシンザスに愚痴を零したが、進展のない関係にむしゃくしゃするティニーは座禅するクレイフィンをじっと見つめることしか出来なかった。
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