第一章

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グラントをめぐり、ラスカとラーシャの争いに眠らない溜まり場(レスト・センター)が騒然となる。 ザイル族とレパード族達が楽しそうに囃(はや)し立て、ポアスティング族と人間はア然となる。 ポアスティング族が関わることにウルフハウンド族は興味なかった。 十真(とおま)達はラスカとラーシャとグラントの争いに驚いていた。 十真:「な、何だ!?…ポアスティング族とザイル族??…あれって…ラミセルド??」 ゼファル:「違うみたいだよ?…ラミセルドと同じ種族だけど…何だろうね?」 クレイフィンの長いウサ耳がピクピクと動く。 ティニー:「…どう?」 ティニーがクレイフィンを見る。 クレイフィン:「聞くところによると…。グラントというザイル族をめぐっての女の争いだそうだ」 フォルメント:「え?ザイル族は確か…一夫多妻制の種族じゃなかったっけ?」 シンザス:「…確かに…でも異種夫婦はこの世界じゃ珍しいけどそう珍しくはないぞ?」 ゼファル:「シンザス…なんか言葉がおかしい…」 シンザス:「はぁ!?」 シンザスはゼファルを威嚇し、されたほうは大人しくなる。 十真:「一夫多妻制でも…あの人の怒りようは凄いね」 フォルメント:「確かに…。でも一夫多妻制でも一人を愛し抜く愛妻家もいるみたいだし…」 十真達の話が別のほうにそれだした頃、向こうにも進展があった。 ?:「ラスカさんに何をしている!」 ラスカを庇うように一人のポアスティング族の男が盾になる。 ラーシャはキィーッとなってその男を睨む。 今まで頭を抱えていたグラントがラーシャを守るようにその男の前に立って睨む。 グラント:「…オレの女に何をする。オレの問題に他の男が入ってくるな」 ポアス男:「な…ラスカさんは僕達の長…」 ラスカはポアス男の背中越しに言う。 ラスカ:「クレー、勝手に私の前に出て来るなといつも言っているだろう?、これはあの女の勘違い一一」 ラーシャ:「何よっ!、証拠は一一」 グラントはラーシャの勘違いを否定することが出来なかった。 何故なら彼は色んなところで懇(ねんご)ろになる同族の女がいたので強く言えない立場だった。
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