257人が本棚に入れています
本棚に追加
ラスカとラーシャの対戦の話題は家(ホーム)で持ちきりになっていた。
滅多なことでポアスティング族が異種族とやり合うことがなかったことと、男をめぐる女の戦いといった情報があったために、面白がっていた。
< 対戦日 >
対戦日はラーシャがラスカに申し込む形となり、翌日の昼に戦うこととなった。
朝から、彼女達の対戦を見る為に滝の画面の奪い合いが引き起こりそうなくらいに通路は賑わっていた。
しかし、魔法がある妖精界では滝の画面が足らないということはなかった。
< 通路 >
滝の画面の前には以前、クレイフィンが十真(とおま)に出した時のように長椅子を出して、十真達は滝の画面を見上げていた。
始めてみる中級者の対戦に十真はドキドキしていた。彼はゼファルやクレイフィンに挟まれたようにして座っていた。
十真:「なぁなぁっ、中級の対戦って何と戦うんだっ??、階級なしの俺は土人形だったし…ゼファルの初級は…人だったし…」
十真は期待を込めてクレイフィンを見たが、彼女はあまりその質問に興味がなかったのか…返答はなかった。
十真:「(…クレイフィン?)」
十真が小首を傾げそうになっていると、ゼファルが半ば慌てたように返答してくれた。
ゼファル:「あっ、中級者も人だよ。俺達と同じくね!一一でも中級者からはまだ俺にはない『あるモノ』を使用しなくちゃならないんだよね」
十真はゼファルを見た。
十真:「…『あるモノ』って?」
これまで黙っていたクレイフィンが静かに口を開く。
クレイフィン:「『武器』だ」
十真:「…え?」
十真はクレイフィンをキョトンとして見上げた。
クレイフィン:「…人間族のトオマにはあまり武器というのには慣れていない種族のようだから聞き慣れていないと思うが一一」
クレイフィンは十真をじっと見つめ返す。
クレイフィン:「初級者は魔法を極め、中級者は武器を扱いながらも魔法を扱うことになれなければならない。それと平行して強くならなければならないという目標があるんだ」
十真はクレイフィンの言葉を聞いて目を丸くする。
最初のコメントを投稿しよう!