第一章

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< 森(?) > 十真:「…誰かいるのか?」 十真(とおま)は真っ暗闇の森(?)の中を見渡す。彼は迷わないように道を覚えながら歩いていく。 < しん… > 静まり返ったそこは十真以外の生き物の気配を感じない。こういった場所に住み着いてもいいと思う鳥の囀(さえず)りや虫の鳴き声が聞こえてこなかった。 十真:「(…不思議な森(?)だな…)」 十真は四方を見渡し、空を見上げる。 < …ドクン > 十真:「ん?」 十真は誰からか見られているような感覚に陥る。 十真:「一一お前なのか?」 十真は幼なじみの友人①を脳裏に浮かべる。 ?:「一一けて」 十真:「え?」 十真は誰かのか細い声が耳に届く。 十真:「そこに誰かいるのか?」 十真はか細すぎてどこから聞こえて来たのか分からなかった。辺りを見回すと再び声が聞こえる。 ?:「一一誰か一一助けて」 十真は目を丸くする。こんな時間に少女のような声が森(?)の奥から聞こえてくる。 十真:「…幽霊?、幻聴?」 十真は不思議に思いながらも足を歩める。 < …………………… > 十真はか細かった声がはっきりと聞き取ることが出来るようになっていた。 少女:「誰か助けて…お願い…此処から助けて…」 十真:「(…うわぁ…明らかに怪しいよ…)」 十真は気味悪いというより気になった。彼自身、幽霊とかそういうのに興味はなかったが、本当に大事(おおごと)だったいけないので声を辿(たど)っていった。 しばらくすると、森(?)の視界が開ける場所に出た。 < ドドドドド… > そんなに大きくない滝が十真を出迎える。 十真:「あの川の源流…なのか?」 十真は滝が作った小さな池を見下ろす。 十真:「!?、ぇっ」 十真は思わず後ろに後退りをする。彼は瞬きをしてから手で目を擦る。 十真:「い、今…池の中に…金髪で緑の目をしたロン毛のオッサンが…めっちゃ、俺を見てたよな…ぇえっ!?」 十真は自分が見たモノにうろたえる。 オッサン:「一一ほぉ…あの森の中からきちんと聞き分ける事が出来たのか…」 オッサンの声は十真の耳に聞こえない。 十真:「一一あのオッサン…一体…何なんだ?」 十真は目に見えるものは信じる主義だった。彼はゆっくりと池に近づいていく。
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