第二章

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同族の団体で行動することなくずっと一緒にいるゼファルやクレイフィンを、異種族として興味本位でじっと見つめることは全くしなかったが、やっぱり…人間は自分と違った生き物に興味を持ってしまうのは必然的な行為だった。 十真:「(…こうして見てみると…俺達以外の種族って…同族が集まってそれぞれの仲間を形成しているんだよなぁ…)」 フォルメント:「(………)」 フォルメントは左胸ポケットの中から、十真の顔を見上げる。 彼女はゼファルやクレイフィンが同族の中で孤立していた事を、薄々と感づいていたが…はっきりと理由までは知らなかった。 十真:「(…そういえば…あのザイル族の人達とポアスティング族の女の人が言い争ってた時…なんか…変な違和感があったような…)」 十真は左胸ポケットからフォルメントを出してテーブルに座らせると、椅子に座って悶々(もんもん)と考え込んでいた。それを見たゼファルが心配そうにクレイフィンを見ていた。 クレイフィンはその見慣れた情けない表情を見てため息を吐く。 シンザスはゼファルの心を感じ取ると、十真に近寄る。 シンザスは十真の顔を見て、反応のない彼の左頬を右手でグニッと捻(ひね)ってみる。 十真:「!?、ひゃにふんだほっ」 十真はあまり痛くなかったが、「何すんだよっ」と言って目を丸くしていた。 シンザスは十真に目くじらを立てる。 シンザス:「どーしたんだっていうんだ??、さっきからなんかお前…おかしいぜ?一一オレらに隠し事なんざ…不必要だっていうの…知らねーのかよ、あ゙?」 最後、ちょっと脅し混じりになっているような気がするが、これはゼファルを心配していたからこその態度だった。 シンザスの全力の凄みに十真は慌てる。慌てながらも、シンザスを落ち着かせようとする。 十真:「ちょっ…何で突然、シンザスがキレるんだよっ?!俺、なんかしたっけ!?」 シンザスはなかなか伝わらない思いに、十真の胸倉を掴みかかる。 十真:「???」 戸惑った十真は小さな妖精の勢いに負けて身体をのけ反る。 クレイフィンがゆっくりとテーブルの上に身体を起こすと、ひょいっとシンザスを摘みあげる。
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