第二章

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シンザス:「ちょっと…オレを摘みあげるなって一一」 クレイフィンがシンザスに顔を近づける。 クレイフィン:「一一シンザス、気持ちを行動で示しすぎだ」 シンザス:「ぅ…だってよー…」 シンザスがクレイフィンの言葉にしゅんとなる。 ティニー:「…ねぇ、トオマ?」 十真(とおま)は優しい声で語りかけるようにして名前を口に出すティニーを見る。 ティニーはシンザスとは対称的な表情と態度だった。 ティニー:「何を悩んでるのかな?、シンザスや私達は一一頼りないのかな?…仲間だから頼ってほしいって思っちゃダメなのかな?一一シンザスの気持ちを考えてあげてよ。あの人が突然みせた行動には必ずしも意味があるから…ね?」 十真はクレイフィンに摘みあげられたシンザスを見る。シンザスは十真を見ることなく、ちらちらとゼファルを盗み見ているのに気付く。 十真:「(あ…)」 ティニーは優しく十真に微笑む。 十真:「(そっか…妖精はパートナーの気持ちを感じ取ることが出来るんだった…。シンザスはゼファルの気持ちを一一)」 フォルメントは十真を見て彼女も微笑んでいた。 フォルメント:「トオマ…仲間って良いでしょう?」 十真はフォルメントを見る。 十真:「おぅ。…『思い思われる』ってやつだな」 十真は通路で思ったことをフォルメント達に告げる。 十真:「さっきの対戦の影響で、此処に来る時に自然と通路に流れてた滝の画面に見入ってたんだけど一一」 十真の行動にフォルメント達は耳を傾ける。 十真:「なんで…ポアスティング族は他の種族と、ウルフハウンド族はポアスティング族だけと一一対戦をしないんだ?」 十真の問いにシンザス・ティニー・フォルメントがピクッとなる。 ゼファルは一瞬だけ戸惑いの表情をして、クレイフィンを見た。彼は十真と以前、その話題を口にしていたが理由は知らないままだった。 クレイフィンはその理由を知っているのか、とても落ち着いた態度だった。彼女は誰かを戸惑ったように見つめる、という行為をしなかった。 クレイフィンはゆっくりと瞳を閉じて、何かを決意したような眼差しをしてから十真を見つめる。 十真はクレイフィンの真っ直ぐな眼差しにドギマギしていた。それは彼女の真剣な眼差しに自然と緊張していた。
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