第二章

7/8
前へ
/1380ページ
次へ
クレイフィン:「その対戦の結果は一一不戦勝だった」 十真(とおま)はドキドキしながら聞いてみる。 十真:「クレイ…フィン…が勝ったのか??、それは相手が勝ったのか…?」 クレイフィンは十真を真っ直ぐに見つめた。 クレイフィン:「私はこれまでの対戦では『無敗』だ一一言わなくても分かるよな?」 十真は目を輝かせたが、ふっ…と疑問が浮かぶ。 十真:「一一あれ?、でもどうして相手は姿を見せなかったんだ??…利益が一致してたんだろう?…まさか一一直前になってクレイフィンが怖くなったとか!?」 クレイフィンは表情を変えなかった。 クレイフィン:「…私も相手が来なかったのに疑問を抱いた。…理由を探ろうとした矢先、ある日私は…ウルフハウンド族達に通路で囲まれた。そこで私は一一」 ティニー:「(クレイ…)」 ティニーは表情を崩さないままだったクレイフィンの胸の痛みを感じて辛そうな表情になる。 シンザス:「………」 シンザスはそっと無言でティニーに連れ添う。 クレイフィン:「一一私の種族が相手を前日に『集団虐殺』を行ったことを知った」 十真:「なっ…!!!」 クレイフィンの言葉に、ゼファルとフォルメントは目を丸くし、ティニーは口元を押さえて涙ぐみ、シンザスはティニーの様子に慌てる。 ゼファルとフォルメントはクレイフィンが言ったその事実を知らなかった。 クレイフィン:「一一同族達はよっぽど、私と戦わせたくなかったのか…今のようにある秩序を守る為にそうしたのかは分からない…。それを知った私は運命か偶然か分からないが、ゼファルと出会い…ティニーやシンザスの関係を知り一一トオマと出会った」 クレイフィンは真っ直ぐに十真を見つめた。 クレイフィン:「これが私が知る全てだ。何故、私やゼファルの種族が争うのかは知らない一一もし、トオマが知りたいと思うのならば一一私が全力で探りを入れようと思う」 十真はクレイフィンの言葉に胸が温かくなる。彼はニコッと微笑むと、ゆっくりと左右に頭を振る。 十真:「…話してくれた事は本当に感謝してる。俺が知りたいと思っていた真実とは違っていたけど一一軽い気持ちで知りたいと思っていた気持ちが変わったよ。…クレイフィンが知りたい事、俺が知りたいと思う事とは違うかもしれないけど一一俺なりに調べてみたいんだ。もし…俺が行き詰まった時、協力…してくれるか?」 十真は自分が口にする言葉がぐちゃぐちゃな気がしたが、今思ったことを素直にクレイフィンに告げた。 クレイフィンは悲しみに満ちた眼差しから、フッ…と優しい眼差しになる。
/1380ページ

最初のコメントを投稿しよう!

257人が本棚に入れています
本棚に追加