第三章

2/7
前へ
/1380ページ
次へ
< 翌朝 > 十真(とおま)は用意を済ませ、フォルメントを連れて通路にいた。 十真:「なぁ…フォルメント」 フォルメント:「何よ」 十真:「図書館って…どこにあるんだ??…俺的に…自分の部屋からあの光りの壁を使って直ぐに行けるって思ってたんだけど」 フォルメント:「一一ちょっと、訳ありの場所だから…ね。あの図書館は変わった場所でね…『望む者の前だけに現れる』のよ」 十真は小首を傾げながらフォルメントを見る。 十真:「昨日もそう言ってたよな?…それって一体一一」 十真がそう口にしたとき、通路の雰囲気が急に変わる。 十真:「…あれ?…なんか急に…静かにならなかったか?」 十真は辺りを見回す。 今までの通路には滝の画面から流れ落ちる水音が、耳に留まることは全くなく、彼等の声で溢れかえっていた。 なのに今はその水音だけがそこに存在し、彼等の姿はどこにもない。 十真が戸惑っていると、フォルメントが彼の左胸ポケットから飛び立つ。 フォルメント:「一一トオマ、落ち着きなさいよ。…どうやら…図書館(インディフォーク・ライブラリー)の扉のお出ましよ」 フォルメントはニコッと笑う。十真は戸惑いがちに彼女の声につられるようにして正面を見た。 十真:「!?」 十真は我が目を疑った。 そこにあったのは、『焦げ茶色の扉』があった。 その扉は観音開きのようで、閉じたままだった。その左右に開く扉には『悩む女性』が描かれていた。 十真:「悩んでいる…人?…っていうか…無駄に扉がデカッ!」 その扉は通路にいっぱいの大きさだった。 十真が驚くのと同時に、図書館(インディフォーク・ライブラリー)の入口はゆっくりと開いていく。 入口の中から光が溢れ出す。 十真:「うわっ…眩(まぶ)しい…」 十真は両腕で光を遮るが、フォルメントは真剣な眼差しでその入口を見つめていた。
/1380ページ

最初のコメントを投稿しよう!

257人が本棚に入れています
本棚に追加