第三章

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フォルメント:「(あら…言ってなかったかしら?…この図書館(インディフォーク・ライブラリー)は魔法が満ちた場所よ?…あたしがいなくても、『貴方が捜し求める本なら読める』はずよ)」 十真:「(へぇー?…でもそれって俺らの世界の本って意味がなくないか?)」 フォルメントはその言葉に小さく笑う。 フォルメント:「(そういう本にもきちんと魔法が掛かってあるから…心配しなくても良いわよ。一一心配ならそこら辺にある本を手に取って見てみなさいよ)」 十真は、近くにあった黄の本棚の本を抜き取り、開いてみたが… 十真:「(一一読めんっ。…これがレパード族の文字なのか??)」 フォルメント:「(もし貴方が必要とする本なら…見慣れない文字でも、『直ぐに解読をしてくれるわよ』)」 十真は本を本棚にしまう。 十真:「(ふーん…?)」 本棚に本をしまった十真は、図書館が異様に静まり返っているのが…ふっと不思議に思う。 本を出し入れする音が自分しか聞こえないのが気味悪く感じられた。 十真:「(一一静かだな…)」 フォルメント:「(………。この図書館(インディフォーク・ライブラリー)にいる彼等は、自分の捜し求めるものにだけ反応するから…此処にいる人達はいつもこんな感じなのよ)」 十真:「(え?…でも俺は普通…だよな?)」 フォルメント:「(今はね。この空間に流れる時間が、人それぞれなのよ。…彼等からみた貴方も…今の彼等のように見えているかもよ)」 十真:「(うぅ~)」 十真は廃人のような彼等を見て、ブルルと身体を震わせた。 そのあと、フォルメントは十真に「目に入った本は手に取るようにしなさい」と彼に伝えると、「…何かあったら声をかけてね」と言い残すと…彼女は眠りについた。
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