第四章

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レパード族の女の子は長い長い梯子(はしご)に、右肩を付けて両手で左側梯子の足を掴み、レパード族の男の子は左手だけ梯子に手を掛けて身を乗り出していた。 レパート族①(女):「きゃーっ♪」 女の子は楽しそうに悲鳴をあげていた。 レパート族②(男):「わーっ♪」 二人は十真(とおま)の存在に気付いている気配はなかった。 レパート族②:「ライズ、次のバルコニーでフィニッシュにするよっ!」 ライズと呼ばれた女の子は頷く。 ライズ:「わかったわ!…いちにの…それっ!」 ライズの合図で、二人は梯子からピョンッと飛び上がり、バルコニーにすたとん…と着地する。 着地したのと同時に、本棚のレールに乗って動いていた長い長い梯子が…バキィンッと激しい音を立てて、終着地点のレールに当たってバウンドさせながら…来た道を戻っていく。 着地したライズと男の子はケタケタと腹を抱えて笑っていた。 十真:「(な…何…?)」 十真はアホ面で彼等を見上げていた。 見上げていたその時、ライズではない男の子のほうのレパード族が、十真の存在に気付き…バッと見て固まる。 ライズ:「?、一一ラーン、どうしたのよ?」 ラーンと呼ばれた男の子が見ていた方向をライズが見る。 ライズは眉間に皺(しわ)を寄せながら…呟(つぶや)く。 ライズ:「一一『ミハル』?」 十真:「…え?」 十真はライズが口にした明らかに日本人らしい名前に反応をする。 その名前はどこかで聞いたことがあるような気がした。 ラーン:「え?…違うよ、ライズ。ミハルは一一『数十年前に』一一」 ライズ:「そうだった??…私の『記憶違い』だったかな?」 ラーン:「うーん…ライズの『記憶違い』はありえないよ。…よし」 ラーンはバルコニーからひょいと、飛び降りた。飛び降りた彼は十真に近づく。 十真はラーンから後ずさりをする。 ライズとラーンはその動きを見て、固まってしまう。 ライズ/ラーン:「一一もしかして…私(僕)達が見えてる?」 十真:「へ!?、見えてるも何も…言葉がっ?!」 十真はフォルメントや近くに妖精がいないのに…彼等の言葉が理解出来た事に驚く。
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