第四章

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ライズ(♀)はラーン(♂)と十真(とおま)を見て、彼女もバルコニーから床に飛び降りる。 流石は猫科に似た種族なだけにあって、高い所から降りても怪我はない。 ライズ:「…ねぇ…ラーン…この人間って…」 ラーン:「………、君の名前は?」 ラーンは十真を眺めた後、突如、そう声をかけてきた。 十真:「え?…十真だけど?」 ラーン:「…フルネームで」 名前を聞くラーンの眼差しは梯子に乗ってはしゃいでいた子供とは違っていた。 ギラギラと輝く瞳に見つめられていた十真は少しだけびくついていた。 十真:「笹木野十真…だけど」 ラーンの脳裏で目の前にいる人間の『笹木野十真』という名前で、『検索』を始める。 彼は召喚された種族達のフルネームで彼等の情報や、言語でさがす能力を身につけていた。 ライズ:「トオマっていうの?…違う…名前ね」 ライズは十真を不思議そうに見つめながらも、懐かしそうな眼差しを向けていた。 十真:「な、何だよ…その眼差しはっ。俺、あんたの事を知らないって!…誰かと勘違いしてるんじゃないか?」 ライズ:「…私に『見間違い』という事はありえないわ」 ライズは十真に聞こえないくらいの声で呟く。 十真は突然、現れたレパード族の男女に戸惑う事しか出来なかった。 十真:「(何なんだよ、この二人っ…フォルメント~、おーいフォルメント~?まだ寝てるのかよー)」 十真は異様な雰囲気を醸し出すライズとラーンに心細くなってきた。 心細くなってきた時、ラーンがふっと…口を開く。 ラーン:「ササキノ・トオマ、階級はなし、戦歴は3戦2勝1敗。3戦のうち、魔法使用は1回のみ、土人形をザイル族と協同に倒した事アリ」 ラーンの言葉にライズの身体がビクッと反応する。 反応した直後、目が虚ろになって虚空を見つめる。 ライズ:「一一成る程…貴方は一一攻撃より、防御のほうに適しているみたいね」 そう呟くと、ハッと我に返る。 十真はトランス(催眠)状態になったライズとラーンを見て、ゾクリと背中が冷える。 ライズとラーンも、かなり久しぶりのお客だったので『能力』をうっかりと使ってしまった。
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